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椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアとは

椎間板は背骨を支え、衝撃を吸収するクッションの役目をしています。椎間板の中心部には、
髄核(ずいかく)というゼリー状の軟骨があり、その周囲を 線維輪(せんいりん)が取り囲んでいます。
椎間板ヘルニアは、何らかの理由で線維輪に亀裂が入り、髄核が線維輪をやぶって飛び出し、神経を圧迫させます。比較的若い方から中年の患者さんに多くみられ、腰に負担をかけるような仕事やスポーツをしている患者さまにも起こりやすい疾患です。前かがみで重いものを持ち上げたり、身体をねじったりする日常動作でも発症します。

症状

腰や臀部の周辺に痛みが出ます。
症状が悪化すると、足にしびれや痛みが出てきたり、力が入りにくくなったりします。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアMRI画像

椎間板ヘルニアのタイプ

膨隆型
Protrusion
脱出型
Extrusion
遊離型
Sequenstration
Subligamentous Transligamentous
膨隆型 脱出型(Subligamentous) 脱出型(Transligamentous) 遊離型
髄核の一部が移動していますが、線維輪は通常な構造を保っています。 髄核が線維輪を突き破って脱出し、後ろの靭帯を持ち上げています。 髄核が後ろの靭帯も突き破り、脊柱管内にその一部が移動しています。 突き破った髄核の一部が断裂し、断裂した髄核が脊柱管内に遊離しています。

治療方法

保存的療法と手術療法があります。
症状、レントゲン、MRI等を診て、担当医師が適した治療法をご提案します。

保存療法

  • コルセットによる局所の安静
  • 内服治療
  • 硬膜外、神経根ブロック注射等

コンドリアーゼ腰椎椎間板ヘルニア治療剤「ヘルニコア」注射

コンドリアーゼ腰椎椎間板ヘルニア治療剤とは?

コンドリアーゼ ヘルニアを起こしている椎間板の髄核内に直接注射する治療法です。コンドリアーゼ腰椎椎間板ヘルニア治療剤の有効成分が髄核の構成成分を分解することで飛び出た髄核を縮小し、神経への圧迫を改善し、 痛みやしびれを軽減することができると考えられています。
原則入院の必要はなく、治療後数時間の安静の後、体調に異常がなければお帰りいただけます。

費用は?
コンドリアーゼ腰椎椎間板ヘルニア治療剤の注射は保険適応ですが、3割ご負担の方で40,000〜50,000円と高額な治療法となります。あらかじめご了承ください。

※本治療法は適応が限られています。ヘルニアのタイプや症状により、コンドリアーゼ腰椎椎間板ヘルニア治療
 剤の注射をご希望いただいた場合でも、他の方法での治療をお勧めする場合があります。
※過去に本治療剤の注射を受けたことがある方は、再度ヘルニコアによる治療を受けることができません。

手術療法

症状が軽い初期のヘルニア、または脱出型タイプ・遊離型タイプの患者さまには(中〜大ヘルニア)

MED(内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術)

MED(内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術) 当院で最も多く行っている内視鏡を使ったヘルニア摘出術です。 全身麻酔にて、腰に約18mmの小さな傷口を開け、先端にレンズの付いた内視鏡を通すための外筒管を挿入、そこから内視鏡を入れ、モニターで確認しながらヘルニアを取り出していきます。手術時間は30〜40分程度、出血もほとんどありません。患者さまへの負担が極めて少なく、入院期間も3〜4日間ほどで済みます。MEDを行っている医療機関は、東海地方では少数ですが、当院では1998年導入してから1000例以上の実績があり、治療有効率95%に達しています。

ポイント

MEDは傷口が約18mm、手術時間は30〜40分程度、出血もほとんどないため、身体への負担が少ない術式です。 入院期間も3〜4日間ほどで済むため、早期社会復帰が可能です。一方、18mmの狭いスペースで器具を扱いヘルニアを取り除くため、難易度が高い手術となっていますが、患者さまにとってはメリットの多い術式といえます。

PED(経皮的内視鏡下椎間板摘出術:Percutaneous Endoscopic Discectomy)

PED(経皮的内視鏡下椎間板摘出術) 全身麻酔にて、腰に約7mmの傷口を開け、先端にレンズの付いた内視鏡を通すための外筒管を挿入、そこから内視鏡を入れ、モニターで確認しながらヘルニアを取り出していきます。
<MEDとの違い>
PEDは細くて長い内視鏡を使用することでMEDとは異なる経路で手術が可能となります。異なる経路によって、従来だと大きく展開し骨組織を切除しなければならなかった一部のヘルニアも低侵襲で摘出可能となります。
(画像提供:RICHARD WOLF社/(株)ウィノバジャパン)

ポイント

PEDは組織を極力切除せずに手術を行うことができ、傷口も小さいので術後の疼痛を抑えることができるため、手術翌日に退院が可能な術式です。一方、術野が小さく神経を開放することに向いてないこと、内視鏡下・顕微鏡下の手術とは異なる合併症があります。術式に関するご質問等は、担当医までお気軽にご相談ください。


再発性椎間板ヘルニアの患者さまには

MSD(顕微鏡下椎間板摘出術)

顕微鏡を使ったヘルニア摘出術です。当院では、主に手術後ヘルニアを再発した患者さまに施行しています。再発ヘルニアは、神経と周囲の組織との癒着を伴っており、初回とは違いかなり難しい手術になります。全身麻酔にて、腰に約3cmの傷口を開け、顕微法で神経を圧迫しているヘルニアを取り出していきます。手術時間は約1時間、出血もほとんどありません。患者さまへの負担が極めて少なく、入院期間も数日間で済みます。

ポイント

MSDは傷口が約3cm、手術時間は1時間程度、出血もほとんどないため、身体への負担が少ないです。この術式の登場により、これまで固定術しか選択肢がなかった再発性ヘルニアの患者さまにも、低侵襲の術式で受けられるようになりました。


さらに症状が重い患者さまには

MIS-TLIF(低侵襲椎間孔進入椎体間固定術)

MIS-TLIF(低侵襲椎間孔進入椎体間固定術) かなり症状が進行している場合、神経を圧迫している部分を切除し、骨を移植して背骨を固定する手術を行います。この固定術のなかでも、特に侵襲の少ない方法が、片側の椎間関節を温存するMIS-TLISです。身体への負担を最小限に抑えながら、安全確実に手術を行っています。背骨のあたりを約4.5cm切開し、筒状の内視鏡用開創器を挿入します。症状側の椎間関節を切除して椎間板を摘出し、そこにご本人の骨や東海骨バンクの骨を移植します。さらに内固定材料(スクリュー、ロッドなど)を使って、移植した骨と上下の椎体を圧着します。

<手術後は?>

手術後間もなくは多少痛みがあり、ベッドで安静が必要です。手術の翌日から、コルセットをつけて歩行トレーニングを開始します。約2週間で退院できますが、手術後3ヵ月は安静が必要です。
移植した骨が癒合するまでには、約3〜6ヵ月かかります。

MIS-TLIF傷口の比較
ポイント

MIS-TLIFは、傷口も小さく筋肉も傷めないため、身体の負担が少ない術式です。内固定材料を挿入するために約12〜15cmの切開が必要だった従来の固定術と比較すると、出血量、傷口の大きさ、入院期間も大幅に短縮され、早期社会復帰が可能になりました。



従来の固定術とMIS-TLIF(1椎間)の比較
手術法(1椎間) 手術時間 出血量 傷口 入院期間
従来の固定術 2〜3時間 400ml 12-15cm × 1ヵ所 2〜3週間
MIS-TLIF 1.5時間 200ml 4-5cm × 1ヵ所
1.5cm × 2ヵ所
2週間

2椎間の比較はこちら


椎間板ヘルニアの治療法は、患者さまの症状や状態によって異なります。
詳しくは担当医までご相談ください。